【アイヒマン実験】上司の理不尽さに従ってしまうのはなぜ?
普段の職場で、上司の理不尽な命令に、ここならずも服従していませんか?
服従の心理とそのメカニズムをアイヒマンの実験を例に解説します。
引用(wikipedia,心理学なるほど事典)
アイヒマン実験(ミルグラム実験)
実験概要
アメリカの心理学者S・ミルグラムは、「記憶学習に関する実験」と称して、20~50代の様々な職業についている人々を被験者として募集した。
彼は応募してきた人達を教師役と生徒役とに分けて、教師は簡単な問題を生徒に記憶させ、もし生徒が正しく記憶できていなかったら、罰として電気ショックを与えるという作業を課した。
なお、この時、教師役の人だけが、罰を与えることが記憶促進に有効であると説明された。(生徒役の人たちはサクラで、教師役の人たちはそれを知らされていない)
電気ショックは、最初の間違いで15ボルト、その後間違えるたびに15ボルトずつ電圧が上がって、最終は450ボルトである。
被験者が実験の続行を拒否しようとする意思を示した場合、白衣を着た権威のある博士らしき男が感情を全く乱さない超然とした態度で次のように通告した。
- 続行してください。
- この実験は、あなたに続行していただかなくてはいけません。
- あなたに続行していただく事が絶対に必要なのです。
- 迷うことはありません、あなたは続けるべきです。
4度目の通告がなされた後も、依然として被験者が実験の中止を希望した場合、その時点で実験は中止された。そうでなければ、設定されていた最大ボルト数の450ボルトが3度続けて流されるまで実験は続けられた。
事前にこの実験に対して、どのあたりで被験者が実験を放棄するのかの予測を立てている。予測の平均は135ボルト、もっとやるにしても300ボルトまで進むのは4%にすぎないだろうということであった。
実験結果
実験結果は予想をはるかに上回る結果であった。
なんと実験では、被験者の60%にあたる人が最終の450ボルトまで電圧を上げているのである。この間、生徒は電圧が上がるにつれて、苦痛を耐えたり、苦悶の表情を浮かべたり、絶叫したりしているが、彼らはサクラなのですべて演技である。
何人かの被験者は実験の中止を希望して管理者に申し出て、「この実験のために自分たちに支払われている金額を全額返金してもいい」という意思を表明した者もいた。しかし、権威のある博士らしき男の強い進言によって一切責任を負わないということを確認した上で実験を継続しており、300ボルトに達する前に実験を中止した者は一人もいなかった。
考察
生徒が苦しんでいるのに、教師役の人達はどうして電圧を上げ続けたか?
なぜこのようなひどい実験に服従してしまうのでしょうか。S・ミルグラムは「エージェント状態」という概念で説明します。
権威システムに参加する人物は、もはや自分が独自の目的に従って行動しているとは考えず、他人の願望を実行するエージェント(代理人)として考えるようになるということだ。
ある個人がひとたび自分の行動をこうした形で理解するようになると、その行動と内的機能には深刻な変化が生じる。それはあまりに顕著なので、こうした変化後の態度はその個人がヒエラルキーに統合される前とは別の状態に入るとすら言える。
これを「エージェント状態」と呼ぼう。これは、ある個人が他人の願望を実行しているものとして自分を理解したときの状態を指す。この反対が自律状態となるーつまり、その人が自分独自で動いているときの状態だ。
『服従の心理』 (スタンレー・ミルグラム 著 河出書房新社)p180
理不尽な上司の言うことに従ってしまうのはなぜ?
ミルグラムの「服従の心理」からわかるように、部下は上司の代理をつとめているだけで、良心にやましいところが多少あっても、置かれた状況を都合よく解釈してしまうし、もともと責任を負っていないと考えてしまいます。
会社という「権威システム」、そして上司という「権威」によって、部下は従ってしまうのです。
アイヒマン実験から服従の心理を学んだあなたは
「権威」により、いとも簡単に人は服従してしまうことがわかったと思います。
権威者が善である場合は問題ありませんが、権威者が悪であった場合は組織全体が悪に染まっているのは事実であります。
自分が悪の権威に服従してしまっていると気づいた方は、今すぐ環境を変えるべきでしょう。
知名度のある権威者が必ずしも善であるとは限らないのでしょうか?
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